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厚生年金から見たフリーランスと会社員の比較

きっかけ

私の友人が最近、サラリーマンを辞めてシステム開発のフリーランスになりました。仕事はいろいろ誘いもあるようで、「フリーランスやめてうちに来なよ」と言われているそうです。確かに、務めたほうが年金や健康保険がついていて老後も安心ですよね。でも、本当にそうなんでしょうか?若い世代は年金なんて戻ってこないという噂が広まり、それに政治家とかタレント(たしか年金の広告塔になっていた?)が年金を積み立てていなくて社会問題になりましたね。しかし、またマスコミもおとなしくなり、みんな忘れてしまったんじゃないでしょうか。

厚生年金の前提

厚生年金を理解するには、次の2つを理解すればだいたいOKです。

  • 2階建て年金
  • 労使折半

厚生年金は、2階建ての年金と呼ばれていて、サラリーマンが入るやつです。ちなみに1階部分を国民年金といいます。厚生年金は国民年金に比べて納付額が多いですが、その分年金の受給額が大きくなっています。まあ、これは当然ですよね。

次に、労使で折半とは、会社が納付額の半分を出し、社員も半分を出すということです。会社が半分出すのでよかった、と思うかもしれませんが、実はそうではありません。経営者の立場に立ってみてください。フリーランスの友人を雇えば月100万の仕事を受注できるとしましょう。厚生年金は月額の17.4%を労使で折半しますので、彼に100万の給与を払うと会社が8.7万円の負担、社員が8.7万円を負担します。これでは会社は108.7万円を払うことになるので、彼の給与は90万程度に抑えるでしょう。

結局17.4%は年金機構に取られるので、ここから給与を払います。フリーランスを会社で雇っても(税金は別にして)支払える給与は82.6万円というわけです。こうなると、フリーランスの友人が17.4万円を積み立てていると考えても間違いはないでしょう。

何歳まで生きると納付額<支給額になるの?

年金の納付額と支給額は報酬月額に依存します。また、繰り上げ支給や繰り下げ支給という制度、納付免除などの制度があり複雑になっています。ここでは簡単に、22歳で社会人になり62歳までまじめに払い続けたケースを考えます(大半のサラリーマンはこれですよね)。

計算の方法は、日本年金機構のページに書いてあります。面倒くさい方のためにものすごく簡素化すると、次のようになります。もし月額50万円の報酬であれば、78+78+2.6×50=286万円が年額として支給されます。

  • 国民年金:年額78万円
  • 厚生年金:78万円(定額)+2.6x月額(報酬比例)

正確には配偶者や扶養している子供があると加給というものがありますが、同い年の奥さんと結婚して、子供はすでに独立していると仮定します。さて、これをExcelで計算すると下記の表になります。金額の単位は万円となります。

報酬月額 総納付額 支給年額 支給月額 回収年齢
10 835 182 15 69.6
20 1,670 209 17 73.0
30 2,506 235 20 75.7
40 3,341 261 22 77.8
50 4,176 288 24 79.5
60 5,011 314 26 81.0
70 5,846 340 28 82.2
80 6,682 366 31 83.2
90 7,517 393 33 84.1
100 8,352 419 35 84.9

月額50万もらっている人は、年金として月に24万もらえます。そして80歳までがんばって生きると支払いった額が回収できるのです。ちなみに月額というのは生涯の月額を平均したものになります。生涯平均で80万とかもらっている人は相当な高給取りでしょう。そのような方は83歳まで頑張って生きないと回収できません。

定期預金の方がいいんじゃない?

では、友人がフリーランスとして月100万を稼ぎ、自分で定期預金なりに積み立てたらどうなるのでしょうか?モデルとしては、22歳で社会人になり、62歳まで40年間厚生年金を払い続けた場合と比較しています(40年間というのは国民年金の最大納付期間です)。報酬月額は30万円から始まり、毎年1万円アップ、最終的には月70万円(年収840万円)と仮定しました。

厚生年金の積立には税額の控除があるので、これもシミュレーションに入れます。控除の計算は、積立額x税率で計算できます。ここで注意するのは、厚生年金は労使折半するため、自分が払った分の積立額は控除されますが、会社が払った積立額は控除されません。つまり、積立額の半分x税額だけ税金が返ってくると考えられます。

税率の計算がまた面倒くさいのですが、月額報酬から年額の報酬を計算し、給与所得控除を差し引くことで年間の所得を計算します。この所得額によって税率が決まってきます。これが次の表となります。

月額 年額 給与所得控除 所得 税率
10 120 48 72 5%
20 240 90 150 10%
30 360 126 234 10%
40 480 150 330 10%
50 600 174 426 20%
60 720 192 528 20%
70 840 204 636 20%
80 960 216 744 23%
90 1080 224 856 23%
100 1200 230 970 33%

さて、この税率を使うことで、厚生年金の積立額と定期預金に入れた場合の比較をしてみます。定期預金は0.5%、1%、2%の定期の3種類を考えてみます。これが次の表です。

定期預金
年齢 報酬月額 積立年額 0.5% 1% 2% 税率 税額控除
22 30 62.6 76.5 93.4 206.1 10% 3.1
23 31 64.7 78.6 95.5 206.8 10% 3.2
24 32 66.8 80.8 97.6 207.2 10% 3.3
25 33 68.9 82.9 99.7 207.4 10% 3.4
26 34 71.0 85.0 101.7 207.4 10% 3.5
27 35 73.1 87.0 103.6 207.2 10% 3.7
28 36 75.2 89.1 105.5 206.9 10% 3.8
29 37 77.3 91.1 107.4 206.4 10% 3.9
30 38 79.3 93.1 109.2 205.8 10% 4.0
31 39 81.4 95.0 110.9 205.0 10% 4.1
32 40 83.5 97.0 112.7 204.1 10% 4.2
33 41 85.6 98.9 114.3 203.0 10% 4.3
34 42 87.7 100.8 116.0 201.9 10% 4.4
35 43 89.8 102.7 117.5 200.6 10% 4.5
36 44 91.9 104.6 119.1 199.3 10% 4.6
37 45 94.0 106.4 120.6 197.8 10% 4.7
38 46 96.0 108.3 122.0 196.3 10% 4.8
39 47 98.1 110.1 123.4 194.7 10% 4.9
40 48 100.2 111.8 124.8 193.0 10% 5.0
41 49 102.3 113.6 126.2 191.2 10% 5.1
42 50 104.4 115.4 127.5 189.4 20% 10.4
43 51 106.5 117.1 128.7 187.5 20% 10.6
44 52 108.6 118.8 129.9 185.6 20% 10.9
45 53 110.7 120.5 131.1 183.6 20% 11.1
46 54 112.8 122.1 132.3 181.6 20% 11.3
47 55 114.8 123.8 133.4 179.5 20% 11.5
48 56 116.9 125.4 134.5 177.4 20% 11.7
49 57 119.0 127.0 135.5 175.3 20% 11.9
50 58 121.1 128.6 136.5 173.1 20% 12.1
51 59 123.2 130.1 137.5 170.9 20% 12.3
52 60 125.3 131.7 138.4 168.7 20% 12.5
53 61 127.4 133.2 139.3 166.5 20% 12.7
54 62 129.5 134.7 140.2 164.3 20% 12.9
55 63 131.5 136.2 141.1 162.0 20% 13.2
56 64 133.6 137.7 141.9 159.8 20% 13.4
57 65 135.7 139.1 142.7 157.5 20% 13.6
58 66 137.8 140.6 143.4 155.2 20% 13.8
59 67 139.9 142.0 144.1 153.0 20% 14.0
60 68 142.0 143.4 144.8 150.7 20% 14.2
61 69 144.1 144.8 145.5 148.4 20% 14.4
総額 286.3 4,134.2 4,525.4 4,969.2 7,437.8 330.9

厚生年金に積み立てた場合、生涯積立額が4,134万円で、支給される年額は286万円。80歳まで生きると(支給期間が15年なので)総支給額が4,290万円となり、なんとかプラスしました。税額の控除も考慮に入れると(控除分はタンス預金で金利がつかないと考えて)4,290+331-4,134=487万円もプラスしました。

しかし、定期預金に入れたらどうでしょう。1%の定期に入れておくと62歳で引退した時点で4,969万円もらえ、厚生年金で15年頑張ってもらうより大きいです。15年生きると考えればこの預金を15年でちょっとづつ使えば厚生年金よりはるかに良い暮らしができるはずです。

結局なにがベストか?

このような計算を見せ、友人にはフリーランスを続けるように説得しました。しかし、年金と預金では大きな違いがあります。それは長生きした場合に預金は不利になるということです。預金は使いきれば終わりですが、年金は生きている限り支給が約束されています。なので、厚生年金の代わりには、個人年金という形で積み立てれば長生きした場合の不安もなく大丈夫でしょう。

または、4,134万も積み立てるなら投資マンションでも買って、それを貸し出すことで大家としての収入を得るのも良いかもしれません。これにリバースモーゲージを組み合わせれば、マンションの価値分だけ借り入れができる(死んだ後にマンションを売り払ったお金を先にもらえるということ)ので、急な支出にも柔軟に対応できます。例えば、4,000万円程度のマンションを買い、引退と同時にリバースモーゲージで4,000万円を現金化する。この現金を15年に渡り消費していく。それと同時に賃貸に出すことで、月10万程度の家賃収入が得られると思います。15年に渡って月10万の収入があれば1,800万円くらいたまっているので、この貯金と月10万の家賃収入で暮らしていけるはずです。

おわりに

フリーランスは自分でこういう選択ができていいですよね。会社員なら否応なく厚生年金ですから。もしあなたもフリーランスになるチャンスがあるなら、今回の年金プランを試してはいかがでしょうか?

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